四章『客』

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「はーまーだ!」 「!!田島ッ…どうしたんだよ?」 「どうしたんだよはお前だろー? さっきからずっと呼んでんのに 無視ばっかしやがって……」 そういってむくれる田島はこの甘味屋でバイトしてる俺の同期だ。 「悪りぃ…ちょっと考え事しちまって…」 あはは…と空笑いを浮かべてむくれる田島に謝るとやがてまぁいいやと機嫌を直した彼は本題を切り出した。 「浜田今日暇?? 俺、面白い所見つけたんだよ!」 ニシシッと悪戯っ子の笑みを浮かべ行ってくる田島に気になって「なんだよ?」と先を促す。 「この近くに遊郭あるだろ? あそこの遊女、皆男なんだってさ!! 仕事終わったら一緒に行こうぜ!」 田島の提案に最初は断ろうかとも思った。 だが俺はふと、昨日部屋に落ちてた孝介の物と思われる簪の事を思い出す。 まさか……まさかな… でも気になって…もしかしたらって、 孝介が変わってしまった意味が分かるような気がして「分かった」と了承してる自分がいた。
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