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逃げることだってできた。
けど結局俺は地図を頼りに良郎の家まで来てしまった。
渡された鍵を使い、部屋の中に上がり込む。
部屋の中は以外にシンプルで、良郎の匂いに包まれていた。
部屋の中央にちょこんと座って良郎を待つ。
するとしばらくしてガチャリと扉が開く。
良郎が帰って来た。
そう思ったのもつかの間、扉の向こうから現れた人物を見て俺は言葉を失った。
「泉(せん)」
男は俺の源氏名を呼んだ。
「こんなところで何をしてるの?」
「ゆ…と」
声は穏やかだか纏っている空気は冷たい怒りに満ちている。
全身が震えるのが分かる。
「ねぇ、泉“キマリ”は分かっているでしょう??」
にこっと笑って勇人が問いかけた。
「店の大事な商品の君がこんなんじゃ、他の子に示しがつかない。
分かるよね??」
勇人の言葉に俺はこくりと頷いた。
逆らえない。
だって…勇人は………
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