弐章「幼馴染み」

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逃げることだってできた。 けど結局俺は地図を頼りに良郎の家まで来てしまった。 渡された鍵を使い、部屋の中に上がり込む。 部屋の中は以外にシンプルで、良郎の匂いに包まれていた。 部屋の中央にちょこんと座って良郎を待つ。 するとしばらくしてガチャリと扉が開く。 良郎が帰って来た。 そう思ったのもつかの間、扉の向こうから現れた人物を見て俺は言葉を失った。 「泉(せん)」 男は俺の源氏名を呼んだ。 「こんなところで何をしてるの?」 「ゆ…と」 声は穏やかだか纏っている空気は冷たい怒りに満ちている。 全身が震えるのが分かる。 「ねぇ、泉“キマリ”は分かっているでしょう??」 にこっと笑って勇人が問いかけた。 「店の大事な商品の君がこんなんじゃ、他の子に示しがつかない。 分かるよね??」 勇人の言葉に俺はこくりと頷いた。 逆らえない。 だって…勇人は……… .
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