脳外科病棟

15/16
前へ
/58ページ
次へ
私の体は どこにも麻痺は残らなかった。 しかし、普通は残るものだ。 私がいた部屋の 脳外科患者は 自分以外 全員 毎日 リハビリ室に通い、頑張っていた。 誰もいなくなった部屋で 1人過ごしていると、なんとなく 申し訳無い気持ちにもなったりした。 本編で 内科にいた時に2度目の出血を起こし、翌朝の オペ室に割り込んだ、と書いたが 脳外科手術の割り込みだった。 同い年の男性が 前日に入院し、その日の手術の為に 準備していたのを 緊急性の点で 私が 優先されたのである。 翌日 その男性は 手術を受けたそうだが…視野障害が 残ってしまった。 半分から下が 見えないとの事。 私が 割り込んだ為に、そんな事になってしまったのでは…と、どう 謝ったら良いのか、と 大騒ぎしていると 医師や看護婦は 「割り込みなど、関係無いよ」と 言ってくれた。 …彼の 運が悪かったのか、私のせいなのか… 私は 彼が 先に退院するまで 彼の目を見ることができなかった。 やはり、全ては 先に決まっているのか、タイミングなのか……? 私は 色んな人に助けられてる上に、犠牲まで 出したのかな…… 彼の事を思い出す度に 申し訳無く思う。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

367人が本棚に入れています
本棚に追加