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能力者は言う。
「風紀委員が来ようと関係有りませんね。ラズベリー様の望みを邪魔する奴は全員潰すだけですね」
「……関係無いわけないですの」
確かに海原は嫌いだ。
でも、彼が傷ついたら悲しむ人がいる。
自分にとって命に等しい愛しいお姉様。
それで理由は十分だ。
「お姉様を泣かせる人間は許しませんわ!」
釘を、今度は他の人物に向けて跳ばす。
次々と跳んでくる釘をそれぞれに迎撃し、空き地はにわかに騒がしくなる。
「ラズベリー様、ここはお逃げください!」
「貴女はここで歩みを止めるべきではありません!」
「査楽!早くラズベリー様を安全な場所へ!」
まるで姫君を守る騎士のごとく勇敢な(愚かにも見える)彼らは、口々に女性を案じる。それに応えるように、女性の側の能力者は行動した。
女性を抱き締めると、そのまま能力を使用する。一瞬の間に、二人の姿は消えていた。
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