結標淡希の憂鬱

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そして今現在、隠れ家にはもう一人いた。 「………随分無防備ね」 結標淡希は、自分が来ても目を覚まさない一方通行に呆れていた。 それだけ疲労が(精神的な物も含めて)溜まっていたのだろうか?しかし来たのが土御門や海原ならば目を覚ましているだろうと、普段の彼の行動から推測した。 一方通行は結標に対して警戒心が薄く見えることが度々あった。ナメられているとも感じられ、結標にしてみればあまり気分の良いものではない。 しかし、結標の気分を悪くさせる理由がもうひとつ。 「気づいてないのかしらね?私も女なのよ、一方通行」 結標はソファーに近づき、一方通行の顔を覗きこむ。いつもは不機嫌な表情ばかりのその顔は幾らか穏やかで本来の造形がよく分かる。 華奢な体格に似合う(本人は怒るだろうが)中性的な顔立ちで『美形』というよりは『美人』という方が正しく思えてくる。
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