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勝紀にこの言葉を言われるのは、これで一体何度目だろうか……。
小学校のあの子のときに十数回、中学のあの子のときに二十数回、後は……。
ダメだ。
数えることもできない。
思い返せばよく解る。
俺はいつもそうだ。
さっきもそうだけど、毎回のように俺は勝手に自分で理由を作って、くだらない自尊心を庇っていたんだ。
そうやって、自分の気持ちに区切りをつけ、自分だけは傷つかないように守ってきた。
そんな自分が嫌いで、抜け出したかった。
だけど、そんな風にしか生きていけない自分がいた。
そんな弱い殻に閉じ籠った俺に、何度も勝紀は手を引いてくれた。
その度に俺は一番大切な一歩を踏み出す前に、また殻の中に閉じ籠った。
勝紀がそこまで考えているのか解らない。
もしかしたら、無意識にやっているのかもしれない。
だけど、今日もまた勝紀はこんな俺の手を引いてくれた。
今度こそ俺は……
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