3人が本棚に入れています
本棚に追加
有り得ない……。
目の前に、彼女がいる。
夢か?
幻か?
まさか……ドッキリとか?
ドッキリだったら仕掛けた奴をブッ殺す!
俺の心臓は爆音を鳴らし、手足は震え始めた。
唇は乾き、喉も全く潤いが感じられない。
「あの……」
俺は震える声で彼女に呼び掛けた。
彼女は俺の方に目を向けた。
彼女の瞳を見て、さらに心臓が荒れ狂う。手には有り得ない程の汗を握っている。
やばい。声が出ない。
「そっ……その――」
緊張のあまり、視線を彼女から逸らして、一言だけ言った。
「つ……付き合って……下……さい」
消え入りそうな声で呟いて、俺はその言葉を心の中で自分を叱責した。
『なんだそれ!? もっと言葉があんだろ? しっかりしろよ俺』
心の中でそう叫んだが、それ以上の言葉が出てこない。
横目で彼女を見ると、今まさに返事をしようと口を開き始めている。
ダメだ!
ここで返事をされたら、俺のちゃんとした気持ちが!
ちゃんとした告白ができなくなる。
「あの……」
今まさに彼女が口を開き、俺の告白紛いの臆病な言葉に返事をしようとする。
最初のコメントを投稿しよう!