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「ちっ……ちょっと待って! 違うんだ!」
俺は慌てて彼女の返事を拒否した。
「へっ?」
明らかに別の意味で驚いて目を丸くする彼女。
「いや! 違わないけど、違うんだ!
じゃないな、えっと……」
俺は意味不明な言葉を発し、頭を掻き、視線を下に向ける。
俺の思いは何だった?
どんな言葉だった?
その言葉じゃないと、本当の意味での告白じゃないはずだ。
『彼女への思い』
それを表す言葉は別にある。
何度も何度も想像(というか妄想?)した告白の言葉。
彼女からの告白は、色々な言葉を想像していた。
だけど、俺から彼女への告白の言葉は一つしかなかった。
彼女への思いは、それでしか表せられないから。
大きく息を吸い、覚悟を決めて彼女の目を直視した。
頭の中が真っ白な俺は、意味不明な事を言い始めるような気がした。
その時少し強い風が吹き、木々が揺れる。同時に薄い桜色の霞が彼女と俺の周りにできた。
何故か体中の緊張がなくなり、風と共に滑らかにずっと溜め込んでいた言葉が漏れる。
「好きです。ずっと前から好きでした。大学は違うかもしれないから気持ち伝えて何になるのか自分でも解んないけど……でも、あなたの事が好きです!」
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