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特に誰かと行く約束はしていないが、自然と友達は集まってくるもので教室に着いた頃には数人の友達と一緒だった。
「泣くなよ? ヒロ」
そんな表情をしていたのか。俺にだけそんな言葉を言ってそれぞれの教室に入っていった。
俺のクラスはいつも通りだった。男子はそれぞれがバカ騒ぎをして、女子は団体でお喋りタイム。卒業式とは思えない程の明るさだった。
「ヒロ! こっちこいよ!」
俺が鞄を置いた時に、いつものメンバーの一人である悠人に呼ばれた。
「何だ?」
俺が訊くと無邪気に笑いながら悠人は自分の目の前にいる人物を指差した。
「和也がな。昨日告って見事に成功したんだとよ」
和也の顔が見る見るうちに赤くなったが、俺は驚きのあまり声が出ない。
「隣りのクラスの松川さんだって」
俺達に構う事なく悠人は一人話を続けた。
「あ……愛も推薦で同じ大学だからさ。チャンスかなと思って……」
「愛だってよ」
俺と悠人はハモった。
「もう呼び捨てかよ! 今までずっと松川さんだったのによ」
俺は悠人と笑った。
心から和也の告白が成功した事が嬉しいと思えたからだ。それは悠人も同じだと思う。
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