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時田高等学校。
時田中学を卒業した人間のほとんどが時田高に進む。
僕もそうだ。
入学式当日、短ランを買う金のない僕は、祖母の手により短くなった学ランを羽織り、元時田二中の奴等を引き連れて、その門をくぐった。
式が行われる体育館へ入って一番に目にしたのは、ガラの悪そうな連中の中で一際目をひく四中のイチだった。
オールバックに茶色のランチコート、一番後ろに特別席を作り、どっしりと腰を降ろしていた。
小柄ではあるが、特別な存在感だった。
イチの噂は知っていた。
幼い頃に両親に見捨てられたイチは広域指定暴力団、市松會の親分に拾われて育った。 四中の頃から時田高のやつらを従えて暴れ回り、時田高を仕切るであろうと期待されていた。
僕も一度イチの軍団ともめた事があったが、その時はお巡りの邪魔が入ってそれっきりだった。
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