君の優しさが辛い

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「浜田のバーカ」 「バカで悪かったな」   独り言のつもりで言った言葉に、聞き覚えのある声がして俺は顔をあげた。 目の前には、浜田がいた。   「…はま、だ…?なに、して…」   予想していなかった出来事に俺は呆然としていた。 そんな事は気にもとめず浜田は言う。   「泉を迎えに」   そうして手にしていた俺のコートを肩にかけてくれた。 なのに我に返った俺が発するのはいつもの憎まれ口。    「はぁ?お前あれから何時間経ってると思ってんだよ!」   まずは礼を言うべきだと思いつつも口を開けばこれだ。こんな自分が嫌いだ。 「うん、だから実は驚いた」   浜田の手が俺の頬に触れる。それはとても優しい温もりだった。    「こんなに冷たくなってる。ずっとここに居たのか?」   浜田の言葉に俺は気恥ずかしくなり頬に添えられた手をはねのけた。   「さ、触んな!悪いかよ!ずっと居たさ、ずっと…」   お前を待ってたなんて…。 涙が出そうになった。 なんて身勝手なんだろう。   「ごめん」 「なんでオマエが謝るんだよ…謝らなきゃいけないのは俺だろ」   肩が震える。謝れば許してもらえるんだろうか。涙が溢れそうになるのを堪えて顔が上げられない。   「ごめん…」   そう言って抱き寄せられた。   「はま…」   名前を呼ぶより先に口を塞がれる。そしてさらに強く抱き締められた。 唇を伝って浜田の体温が伝わる。   あ、やべ…マジ泣きそう。
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