アイタイ

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走って走って走って、気が付いたそこはアイツん家の前だった。 「はぁ…はぁ…」 息が荒くなるほどの全力疾走で、何をしているのか。 「…なんで、アイツなんだよ…」 会いたい会いたい会いたい そう思って気付いたら、家を飛び出していた。 寒空の下、コート着るのも忘れて。 ドアをノックしようと手を伸ばしたところで、そう言えば今日はバイトだと言っていたことを思い出して止めた。 ドアの前に座り込む。 寒いな… 吐く息は白い。 かろうじて巻いてきたマフラーに掌を絡めるものの、指先はかじかんできて動かすのが辛い。 メール打て無いな、なんて考えたがそもそも携帯さえ忘れてきていた。 「どんだけ焦ってんだよ俺」 苦笑い。 まぁ普段からあんま携帯使って無いけどさ。 それでも、アイツからのメールに頬が緩んだり、着信音変えてみたり。 なんで… 『会いたい』 なんて思ったんだろう。 「浜田…早く帰ってこねーかなぁ…」 そう思いながら目を閉じた後、俺は意識を手放した。
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