34人が本棚に入れています
本棚に追加
「なに?とりあえず風呂沸かすか?お前冷えきってるし、マジで風邪ひきかねない…」
浜田はそう言いながら玄関の鍵を締め、静かな部屋に音が響いた。
俺は浜田の方へ向き直り言葉を発した。
「おかえり」
俺の言葉に浜田はキョトンとした。
「はぁ?はは、何言ってんだ泉…ってうわぁ…!」
いつもなら絶対こんなことしないのに。
俺は浜田にそっと抱きついた。
多分今日俺おかしいんだ。こんなに寒いのにコートも着ないで浜田ん家なんか来て。何時間も待って。
「い、いずみ??」
ほら、浜田だって驚いてる。
「おかえり」
俺はもう一度そう繰り返す。
「泉?」
名前を呼ばれても俺は返事をせず、抱きついたまま離れなかった。
くすっと笑う声が聞こえたと思ったら、そっと背中にに腕が回された。
「ただいま」
浜田はそう言って俺を抱き締める腕に力を込めた。
暖かい。
浜田に抱き締められると落ち着く。
なんだろな、この安心感。
この腕はいつまで俺を抱き締めてくれるだろうか。
いつまで俺の傍にいてくれるだろうか。
そう思ったら、無性に会いたくなったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!