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「別に…止めなくていいのに…」
自分が口にした言葉にはっとした。
俺、なに考えてんだ?別にそんなつもりで来たわけじゃねーし!
顔が熱くなってきた。
「なんか言ったか?泉?」
幸い浜田には聞こえていなかったようだ。
「な、何も言ってねーよ!バカ浜田」
そう言い捨ててマフラーを外しながらズカズカと部屋の中へ歩みを進める。
「なんだよ急に…ってか顔赤くない?」
振り向いた浜田がそう言って俺の額に手をのばす。
「やっぱちょっと熱いんじゃね?」
不意討ちにさらに顔が熱くなるのが自分でもわかった。
「うっさい!この甲斐性無し!」
そう言って浜田の手を振り払う。手にしていたマフラーでついでに叩いてやった。
「いてー!なんだよ??やっぱ今日お前変じゃないか?」
「うるさいうるさいうるさい!腹減ったから飯!」
あーもう自分が嫌になる。
我に返って自己嫌悪。慣れないことをした皺寄せだ。
「さっきまでのしおらしい態度はなんだったのかしら…」
泣き真似をする浜田が視界の端に入ったがそんなのは無視でいつもの定位置に腰を下ろした。
「はぁ。じゃぁ機嫌直してもらうために美味いもんでも作りましょうかね」
そう言ってキッチンで作業を始める浜田の背に呟く。
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