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それもそうだろう。
私は、彼に頭を撫でられながらボロボロと泣いていた。
どうしてこんなに涙があふれるのかわからない。
けれど、後から後から熱い雫が私の頬を捕えて、流れ続ける。
「━━━━……っ」
明らかに困惑した顔で、彼は私を見ていた。
「ズッ……、グスッ。すっ、すんません。なっ……、泣くつもりなんて……、なかったんやけど……」
鼻をすすりながら言うと、彼は私の体を優しく抱き寄せた。
不意打ちで抱きしめられた私は、彼の胸にスッポリとおさまる。
やっぱり、その腕や胸板は男の人のものだった。
ドキドキする。
「えっ……、えと……?」
戸惑う私。
「バカねぇ。アンタどうせ泣くのずっと我慢してたんでしょ? 泣きなさいよ、かまわないから。だれも見てないし、あたしも気にしないから。
地元じゃないとは言え、何年も過ごした場所だもの。名残惜しいんでしょ? 友達とか、彼氏とか……離れるのは辛いでしょう? あたり前じゃない」
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