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彼氏はおりません、半年前に別れました……と言ってしまいたかったけど、なんでか言えなかった。
私は、彼の背中にぎこちなくてのひらを回しながら、
「やっぱり……複雑ですわ」
「うん……」
「だって……、だって私、ここで夢見つけるって上京して、学校行ってバイトして……全部うまくいってたはずやのに、こんなことで終わってしまうんやなて……」
「そうよね、あっけないわよね。でもね、なにかの終わりなんて、いつもあっけないものよ。
仕事だってそう。恋だってそう。命だって、終わる時にはいやにすっきりしてて、きれいさっぱりなくなっちゃうの。悲しいわよね」
その話し方は妙に優しくて、私の涙をよけいに増大させる気がした。
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