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「人生はいつも、終わりの連続よ。けれど、別れの数だけ出会いがあるっていうように、終わったってまた始まるのよ。本当は、始まってほしくない時だって、抵抗むなしく、始まってしまうものなの」
彼は一気に言うと、私を抱きしめる腕に力をこめた。
だれかを思い出すような、
記憶を刻みこもうとするような、
そんな力強い腕に、私はただ身をまかせた。
今日、彼に会えてよかったと思う。
初めて見た時、彼氏持ちの身でありながら、彼に胸を高鳴らせて、でも彼はオカマだって事実に落ち込んだ。
それから、隣に住んでいるのに、できるだけ避けて。
関わることなどないように。
それが今日、「最後くらい……、最後なんだから……」とほとんど気まぐれに近い気分で、彼の部屋に来たのは正解だった。
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