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  「そのへん、適当に座ってて」 「あっ、はい……」 彼に促されて、私はカーペットの敷かれた床に座った。 カーペットの中央にガラスのテーブルがあり、きれいなピンクのグラデーションのクッションもある。 家具のひとつひとつも、華美すぎない品のよいもので、きれいに磨かれている。 ほこりも落ちていない。 出しっぱなしになった雑誌や服なんかもない。 いやに、趣味のいい部屋だ。 「お部屋……、キレイにしてはるんですね」 キッチンに入った彼に向かって言うと、彼はお盆にカップをのせてきて、 「はあー? 普通じゃない?」 と、心底 意外そうに言った。 そして、私の前のガラスのテーブルに紅茶のカップを置いた。 「どーぞ」 「あっ、どうもっ……」  
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