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気持ちを落ち着けようと、出してもらった紅茶を口に含む。
「! おいしい!」
私は、わざわざカップを口元から離し、彼を見上げて言った。
この紅茶はおいしかった。
あったかくて、優しくて、どうやってこんな味を出しているのだろう。
「そぉーおぉ? よかったぁ」
彼は、顔の前で手を組んで微笑む。
その仕草や言葉は、やっぱり少々 気色わるいが、笑顔になったその顔は、相変わらず美形だった。
私は、前々から不思議だったのだ。
こんなに綺麗な顔をして、背も高くて整っているのに、どうして彼は「オカマ」なんだろう。
しかし、それを聞くことはできなかった。
きっと彼にも、
人に言えない事情のひとつやふたつが、あるはずだと思ったからだ。
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