最終章 私とあなたの七日間

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「鳥になれるなら、飛んでみたいな」 「鳥になったら人間になりたいって思うかもよ」 人には翼はない。けど、翼があったとしても人はそれ以外の物を求めるものだ。 「あ、やべ…掘る物忘れた…」 「えぇ~!じゃあどうやって掘るのよ!」 「なんとかなるんじゃないか?」 彼はそう言うと千年樹の麓に移動して、12年前に掘った場所を探す。 「確かこの辺だったよな」 「ここだよ」 私の記憶は間違いないはずだ。 根が編み目のように張り巡らされ、その中でも一際太い根が目印の小さな隙間。 12年前、私と司で確かにここに埋めたはずだ。 司は周りに転がる石を手に持つと、すぐにその場所を石で掘り始めた。 私も彼の真似をして石でそこを削る。 【おとなになったらけっこんしよう】 【おとこのこは18さいからだって、おかあさんがいってた】 【7月20日】
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