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でも、今の私にはそんな事気にもならなかった。
「楽しい?」
突然の背後からの声と共に、声の主は私の隣のブランコへと飛び乗った。
「別に」
だから私は素っ気なく答える。
彼は私の言葉を待っていたように次の言葉を繋いだ。
「一人じゃつまんないでしょ?」
「………」
私は敢えて答えない。
そう、私はこのやりとりを知っている。
これはかつての記憶のリフレイン。
「遊ぼうよ…瑠璃」
かつての言葉の語尾に私の名前を入れる彼。
私はわざとらしく大きく頷いて、そして言った。
「うん!そうだね司!」
彼がそこにいた。かつての面影を持ったままの司だ。
「来てくれると思った」
「当たり前じゃない。約束したでしょ?」
「そうか…そうだよな」
彼は優しい笑みを浮かべると、その手を私に差し伸べる。
私は彼の手に自分の手を添えた。
「行こう」
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