最終章 私とあなたの七日間

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夏休みの始まり。 でもそれは… 「ついた」 「え?ここは…」 そこは幼稚園。私と司が通っていた幼稚園だ。 だけど幼稚園独特の、騒ぐ園児達の姿が見あたらない。それは外にも室内にも。 それどころか先生達の姿もなかった。 誰一人としてそこにはいなかった。 時間帯は、幼稚園児達は帰っている頃合いだが、決してそう言うものではない。 「廃園になったの、この幼稚園…」 「そっか…」 彼は物悲しそうな表情を浮かべ、その建物を見ていた。 「懐かしいなぁ…」 かつての雰囲気はなく、木々の蔦や木の葉が散乱し、壁面は変色して剥がれ落ちているところまである。 私たちが通っていた頃とは随分違った。 「司、あんたが引っ越してこなかったら、私多分引きこもりになってたと思う」 「随分大げさな発言。それは誉め言葉でいいんだよな?」 「わかってるでしょ?当時の私には友達なんていなかったんだから」
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