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夏休みの始まり。
でもそれは…
「ついた」
「え?ここは…」
そこは幼稚園。私と司が通っていた幼稚園だ。
だけど幼稚園独特の、騒ぐ園児達の姿が見あたらない。それは外にも室内にも。
それどころか先生達の姿もなかった。
誰一人としてそこにはいなかった。
時間帯は、幼稚園児達は帰っている頃合いだが、決してそう言うものではない。
「廃園になったの、この幼稚園…」
「そっか…」
彼は物悲しそうな表情を浮かべ、その建物を見ていた。
「懐かしいなぁ…」
かつての雰囲気はなく、木々の蔦や木の葉が散乱し、壁面は変色して剥がれ落ちているところまである。
私たちが通っていた頃とは随分違った。
「司、あんたが引っ越してこなかったら、私多分引きこもりになってたと思う」
「随分大げさな発言。それは誉め言葉でいいんだよな?」
「わかってるでしょ?当時の私には友達なんていなかったんだから」
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