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「そういやお前、いつも一人だったよな。つまんなそうな顔してさ。まだ幼稚園児なのに可愛くない」
「うるさいねぇ。人にはいろんな奴がいるのよ」
彼が引っ越してきて、彼が私と仲良くしてくれたから、きっと今の私が作られたんだろう。
「いろんな奴がいるからこの世界は楽しいんだろ。な?」
「うん…」
彼は私の手を握ったまま、次の目的地を目指す。
「なぁ瑠璃、思い出してくれた?」
彼が突然聞いてくる。私は当たり前のように頷く。
「うん、全部思い出したよ」
「そっか…思い出しちゃったか…。じゃあ今から行く場所もわかってる?」
そう…すべて…知ってるよ司…
「タイムカプセル…でしょ?」
―――「あぁ。おれたちのタイムカプセル。おれたちがおとなになったらあけるんだ」
彼は少し恥ずかしそうに最後の言葉を付け加えた。
「ふたりのこと、ぜったいにわすれないように」
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