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「うん!」
私たちはタイムカプセルを埋める約束を交わした。
「ねぇつかさ…でもどこにうめるの?」
「え?あぁ…う~ん…」
彼は考え込んで窓から外を見る。その先に何かを見つけたように指をさした。
「あそこ!あそこにしよう!」
私は彼の隣に立ち、彼が指を向ける方向を眺める。
そこには海、いや、海に飛び出る岬。
一本のとても大きな木が威風堂々と構えていた。
「あそこは?」
「せんねんじゅだよ!せんねんじゅのしたにうめるんだ!」
―――「千年樹。千年の樹齢を持つ、大樹の根本。私たちはあそこにタイムカプセルを埋めたの」
「その通り」
私たちは千年樹の元へ向かって歩く。
いつもよりゆっくりと、今ある時間を無駄にしないように。
―――空は青く、よく晴れていた。
風は強く、隔てる物がなかった。
海は広く、小さく揺らめいていた。
そして隣に、司が側にいた。
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