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彼は手の平を広げる。
そこには二つの指輪があった。
それはガラス玉が装飾される、手軽に買えるほどの安物。
子供だましの指輪だった。
昔、お祭りの時にくじで当たったものだ。
「瑠璃、結婚してくれるか?」
私の方へ向けられる、タイムカプセルに入っていた指輪の一つ。
私はそれを受け取った。
「うん!いいよ!」
その瞬間に私の体は彼に引き寄せられていた。
彼の温もり、彼の吐息、すごく心地よくて、しばらく離れたくないと思える。
「瑠璃…」
「司…守ってくれたんだね…。あの約束を…あんな約束を…」
「お前のお母さんが言ってただろ?約束は守らなきゃ意味がないって…」
彼は私の体を解放すると私と向き合った。
太陽は西の空に、遙か彼方の水平線のさらに向こうへとゆっくり向かってゆく。
空が紅に染まり、私たちも赤く色づいていた。
「神様がくれた7日間」
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