1910人が本棚に入れています
本棚に追加
ずっと側にいて欲しかった人。
そして…今でも変わらず大好きな人の一人…
彼の唇が離れてゆく。
「12年前…初めて会ったその日からずっと好きだった…」
「うん…うん…」
涙は止まる気配を見せず、私の視界を滲ませる。
「俺の事…忘れないで欲しい…」
「忘れない…忘れないよ…」
あなたは記憶の中でいつまでも側にいてくれる。
いつかはその記憶が霞んで、色褪せてゆくかもしれない。
でも決して消えることはない。
そんな事は絶対にない。
忘れるもんか。
忘れてたまるもんか。
「瑠璃…俺…そろそろ行かなくちゃならないみたいだ…」
彼はゆっくりと私から後ずさる。
そして左手薬指につけられた安物の指輪を外した。
「これで離婚だ…。お前はもう俺の妻じゃないから…」
涙目の彼は、私にその涙を見せないように背を向ける。
「この歳で…バツイチだな…お前…」
最初のコメントを投稿しよう!