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「ふふ…司も…でしょ…?」
太陽は既に半分西の海に溶けだしていた。
もうすぐ夜が来る。
「そうだな…。瑠璃…最後に一つだけ…約束してくれないか…?」
「約束…?」
「あぁ…絶対幸せになるって…」
私は流れ続ける涙を拭わずに彼に背を向けた。
司の声は震えていた。
「うん…約束する…絶対…幸せになるよ…」
「ありがとな…。それにさようなら…」
彼のお別れの言葉に私の涙はさらに勢いを増して流れ落ちていった。
「もう振り向くなよ?…合図をしたら…お互い前に進むんだ…」
背中合わせの二人。
「待って…最後に…手を握らせて…お願い…」
言葉は震えて、うまくしゃべれない私。
振り返ることなく彼の手と私の手が重なり、指が絡み合う。
「私も…好きだった…初めて…恋した…人…だもん…」
「瑠璃…」
「私を…助けてくれた人…だもん…」
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