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私は自嘲気味に笑いながら立ち上がり、彼の眠るお墓に一声をかける。
「また…来るよ…」
私はそこから引き返す。
「まさか…瑠璃ちゃん…かい…?」
振り返れば、そこには一組の夫婦がいた。
どこか見覚えがある。
「星野…瑠璃ちゃん…だね?」
「え?あ…はい…」
「そうか…こんなに大きくなって…」
そしてようやく思い出す。
「もしかして…司の…お父さんとお母さんですか?」
私がそんな風に答えれば、二人は同じように目を丸くして驚いた表情を浮かべる。
「瑠璃ちゃん…思い出したのかい?司のこと…」
私はお父さんと司の死がきっかけとなって、自分の記憶を封印した。
だからお母さんも過去を話そうとはせず、司の両親と会うこともなかった。
だから二人が私が司の事を思い出したことに驚くのも無理はないだろう。
「はい…私の命の恩人です…」
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