「私は書き続ける」 2004年2月 全国紙掲載コラム

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「私は書き続ける」 2004年2月 全国紙掲載コラム

「私は書き続ける」  結婚して9年、愛らしい一人娘にも恵まれた。少しでも家計の足しにと、娘が保育園に入ったころから仕事を始めた。だが、育児と家事の両立は難しく、いくつもの仕事を短期間のうちに転々とした揚げ句、体を壊してしまった。それまでは家計のため、家族のためと、肩ひじ張っていたと思う。仕事を辞めて私に残ったのは、ちょっとしたストレスにも耐えられない体と、何をしてもだめなんだ、という自信喪失だった。  そんなある日、立ち寄った書店で公募やコンテストの情報誌が目に入った。私は学生のころ、詩のようなものを書いていた。推理小説や恋愛小説をよく読み、いつか私も何か書いてみたいな、と思っていた。それを思い出し、ためしに原稿用紙20枚ほどの短編を書いて出版社に応募した。中学の同窓会で再会した若い男女の恋の話である。結果は「入選」だった。大賞、佳作には入らなかったが、手紙で通知をもらった時は、とても嬉しかった。勇気が出た。書くことで生きる張り合いを取り戻した。  それ以来、何度かコンテストに応募しているが、2次審査通過ぐらいで、なかなか賞には届かない。しかし、これからも書き続けたい。書くことは、なにもかもあきらめていた私に生きがいを与えてくれたからだ。いつか私が書いたものを、どこかで発表できる日を夢見て。
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