麗しの君へ

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だけど、ああ、そうだ。 その時も、僕は自分から連絡をとることはなかった。 僕は必死で抵抗したんだ。 彼女のことを好きだなんて、あるわけがない。 彼女も他の女の子たちと同じだ。 そう思い込もうとした。 理由はもう、君にもわかるだろう。 僕が、愛するものを、ただ撫でるだけでは満たされない人間だからだ。 結局、僕が彼女を避けるような形になって、ふたりの関係は消滅していった。 仕方がなかった。 その前の年に、僕はすでにこの手で生き物を殺してしまっていたんだ。
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