34人が本棚に入れています
本棚に追加
そのまま一気に穴を埋めた。
もがく子猫の体に、どんどん土をかぶせていった。
生き埋めにしたんだ。
あの可愛らしかった猫を。
僕はずいぶん長い間、そばに膝を抱えて坐っていた。
猫がいつ絶命したのか、それはわからなかった。
静かだった。
ただ時計の針の位置で、もうとっくに死んでいるんだな、と思った。
身勝手で残酷だと、君は言うだろう。
僕自身それは理解していたし、猫がこの世から永遠にいなくなってしまって、とても悲しかった。
いつの間にか、あの猫の存在は、僕の心の奥深くにまで浸透していたんだね。
当然のことだけれど、僕はそのことを誰にも言わなかった。
もし誰かに知られてしまったとしても、おかしなことに動物を殺しても器物損壊の罪にしかならない。
もちろん、誰にも言わなかったのはそんな理由からじゃない。
法も罪の重さも、僕には関係ないことだった。
ただあれは、僕と猫だけの、とても重要な秘密だったんだからね。
誰にも、僕たちの間に割り込んでほしくなかった。
最期に見つめ合った瞬間を、神聖なものとして、僕の心の箱の中にしまっておきたいと思ったんだ。
僕たちの世界に誰も立ち入らないよう、僕は学校の敷地内で一番ひと気のない場所を選んで、できるだけ深い穴を掘ったんだよ。
目印になるようなものも一切ない場所に。
どこからどっちの方向に何歩か、僕は自分の記憶に大切に刻み付けたんだ。
最初のコメントを投稿しよう!