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僕はある晩、彼女を待ち伏せた。
暗闇から現れた僕を見て、彼女は最初こそびっくりしていたけれど、その表情はすぐに僕に会えた喜びに変わった。
僕はひと気のない公園に彼女を誘い、彼女を殺した。
僕の手に握られたナイフを見ても、彼女はまるで状況を理解していなかった。
きっと刺された瞬間さえ、何が起きているのか理解していなかったんじゃないかな。
ナイフの刃は、いともたやすく、いっそ滑らかなほど自然に、彼女の体に吸い込まれていった。
自分の足で立っていられなくなった彼女が、全体重を僕にあずけたあの瞬間、僕は本当に彼女を愛しいと思えた気がする。
僕は幸せだった。
その後、彼女の死は通り魔殺人として処理された。
僕は幸運だった。
いや、思惑どおりだったのかな。
警察の影は、僕の周囲にまったくなかった。
それでも僕は、いつ背後から警官に肩を叩かれるんじゃないかと、内心怯えていたよ。
大学を卒業し、僕は実家を出た。
就職して、一人暮らしを始めたんだ。
もうあの家で、以前通りにふるまいつづける自信もなかったし、自由になりたかった。
その後、何人に手をかけたか、詳しく語るつもりはない。
ひとつだけ言えるのは、僕が殺した女性たちは、皆、本物の美女たちだったということだ。
僕の犠牲者たちは、本当に美しかったよ。
その場で息の根を止めてしまいたくなるくらいにね。
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