二年後

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沙織、ママ、佑美の3人が一斉に扉の方に顔を向けた。その客人を見た途端にママと佑美が落胆した。 「なんだ~吉田さんかぁ。沙織ちゃんが、がっくりしてるやないの!」 ママが大声で言い放った吉田と言う男は仕入先の業者の店主だ。吉田は訳が分からずビールのケースを運んだ。 「客待ちですか?客みたいな人が店の前で電話かけてますよ?」 吉田の一言にママが外に出た。扉を開けると、そこには待ち人の裕也が立っていた。裕也がママを見ると驚いた表情をした。店を指差し、すぐに入れと言わんばかりの仕草をしていた。裕也は慌てて電話を切り、ママに、 「いきなりどうしたん?」 ママは無言で裕也の手を引っ張り店へと入れていった。 「沙織ちゃん!佑美!今日一人目のお客さんです。かっちゃん、ケーキ食べて?沙織ちゃんからやで!」 裕也は、静かな店内に慣れていた。客が自分だけの時を何回か経験しているので慣れてしまったらしい。カウンターに腰掛けるとタバコに火をつけた。ママが奥に沙織を呼んだ。 「沙織ちゃん!かっちゃんを閉店まで引っ張り?うちらが姿消してるときに番号交換しとき?分かった?」 沙織は、どうせ聞けないと思いながら、うなづいた。沙織が 裕也の方を見るとケーキを口にしていた。 「ママ!焼酎にケーキは合わんわ。ウイスキー出して?」 ママは、裕也に向かって 「私は忙しいから沙織ちゃんに頼んで?」 冗談混じりに言うと裕也が突っ込んだ。 「客がいないのに何が忙しいのか分からないわ。まっいいや。沙織ちゃん頼む、出してくれ。」
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