期待の一人暮らし

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沙織は、遠退いていく故郷を見ながら絶対に夢を叶えようと心に誓った。そして二時間あまりトラックが走って新たな生活の始まる地へ着いた。最初は都心に近いだけあって栄えてると思っていたのだがトラックが進むに連れて田園が広がりはじめた。沙織は落胆したが運転手に聞いた。 「ここって買い物する場所あるんですか?」 「あ~。唯一大型デパートが一件あるくらいっすかねぇ。みんな若い子とかは、名古屋に近いもんだから電車に乗って行っちゃいますよ。遊び場所もあんましないっすから。」 沙織はオシャレ好きで服も、こだわっていたので不安になっていた。そして沙織を乗せたトラックはアパートに着いた。外装は薄いブルーの色をしている五階建てだった。駅に近い所が決め手となった。隣には中華料理屋がある。 「ここの店、地元じゃ評判いいんっすよ。亭主も中国人で本格的ですから。作るのがめんどくさかったら来て食べてみるといいかも。」 運転手の言葉に沙織は、苦笑いしていた。沙織の部屋は三階にある。1DKと一人暮らしには程いい場所だ。内装も悪くないがキッチンが狭いのが正直嫌だった。荷物運びが終わり、運転手は帰って行った。沙織は休むことなく駅に行きバイト雑誌を手に取った。パラパラめくっていたが、近くにはなく諦めて家に帰ろうと立ち上がると、コンビニの壁に貼ってある募集の紙に目が止まった。 「以外と目の前にあるものね・・・」 運がいいと思いつつも中に入り、面接を受けようと店長を尋ねた。 「あのー、すいません。外にバイト募集の紙貼ってあって面接受けたいんですけど・・・」 すると店長らしき人が走ってきて、 「はぁ・・はぁ・・君、採用。明日から来てくれるかな?忙しくて店員不足で、やっと来てくれたよ。君は女神だ。」 汗だくの店長は安堵感いっぱいの表情をしていた。 沙織は、呆気に取られた。こうして、沙織の新生活が始まった。
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