二年後

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沙織は無事に短大を卒業して資格を得た。この二年で友達も沢山でき、名古屋のショッピングも楽しむことができるので、しばらく故郷には帰らず地元で探すことにした。この日は、友人と遊び遅くなったので自宅の隣にある中華料理屋に入った。 「イラッシャイ。ナニタベル?」 明らかに中国人と分かる店員が片言の日本語で話し掛けてきた。沙織は炒飯を頼んだ。待っていると一人の女性が入ってきた。 「店長!いつものね。」 「ハイ。カラアゲテイショクネ。」 常連客なんだなと沙織は思った。派手な格好をしていたので水商売の人かなと思っていた。 「あら、可愛い女の子が一人でいるなんて珍しいわね。彼氏はいないの?」 いきなりの問い掛けに慌てた沙織は、 「二年前に、大学の為に一人暮らししに越してきたんです。地元じゃないから彼氏作る予定はないです。」 見知らぬ人に何話しているんだろうと思いながらも炒飯に手をつけた。 「お嬢さんは何処に住んでるのかしら?」 「この店の隣のアパートです。」 すると女性は、 「あら~、偶然ね?そのアパートの裏にあるスナックを私、経営してるのよ。今、人手不足で困ってるのよ。あんたなら、客受けも良さそうだしバイトしない?日払いでもいいわよ?時給は1500円からで、頑張り次第で上げていくわ。どう?お酒も好きそうだし。」 沙織は、スナックがあったのを初めて知り驚いた。生活費でほとんど消えていくコンビニのバイト料だけじゃ苦しいと思っていて、時給に食い付いた沙織は、少し悩んで、 「とりあえずやってみます。やったことないから不安ですが・・・」 不安がる沙織にママは、 「大丈夫よ、みんな客はいい人ばかりだし。昔は無茶な客もいたけどね。よし、決まり!今日から来れる?」 「あっ・・・はい。宜しくお願いします。でも服は?」 「あんたが自分で可愛いと思う服でいいわ。キャバクラじゃないんだから気楽でいいわ。夜の九時からね。じゃあ宜しく。ここは、おごるから!店長いくら?」 「ニセンエンデス。アリガトウ。マタデス。」 沙織はマイペースなママに笑いをこらえつつも、水商売が上手くやれるか心配だった。
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