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夜の九時になり、沙織はスナックへと向かった。すると看板が目に入り、「スナック メロン」の文字が。
「ここかぁ。あ~どうしよう・・・目の前に来たら緊張してきた・・・」
言い様のない緊張感が沙織を襲い、扉を開けることができなく、扉の前に立ち尽くしていた。無理もない。水商売など経験がないのだから。たとえ客として入るてしても、一人じゃ無理と言う人は多い。沙織が立ち尽くしていると、
「入らないの?」
後ろからの男の声に驚きながら沙織は振り返った。そこには、作業着を着た男が立っていた。
「あっ、あの・・・私、今日からバイトで世話になる者なんですけど、こういう所初めてで入りづらいというか・・・」
「だろうね。いいよ、一緒に入ればいい。君かぁ。ママが言ってた新人は。俺は加藤と言うよ。宜しくね!」
「私は横河内と言います。宜しくお願いします。」
すると裕也は、
「呼びづらいな・・・下の名前は?」
「あっ、沙織と言います。」
「沙織ちゃんか。よし入ろう。」
二人は扉をくぐった。
「カラン・カラン」
扉を開けると心地いい鈴の音色が響いた。
「あ~!いらっしゃい、かっちゃん!沙織ちゃんも待ってたわよ。向こうにカバン置く場所あるから、置いてきてね。佑美が教えるから。」
ママは、スナックでもハイテンションだった。沙織が荷物を置きカウンターへ行った。
「じゃあ、沙織ちゃん。まずは、氷とチャーム(つまみのこと)を用意するから付いてきて。」
佑美に付いていき、メモを必死に書いていく沙織。
「ここの棚に客のキープしてあるボトルがあるから。最初は、何飲んでいるか聞いて探してね。徐々に客の顔と名前覚えていけば酒の種類も覚えていくわ。」 佑美のアドバイスに必死に付いていった。
ママは、
「とりあえず、かっちゃんの相手してあげて。たぶん年近いだろうし。慣れるには、ちょうどいいと思うから。」
「あっ、はい!」
見るからに硬直している沙織を見て裕也は、 「ここの店は気楽にしてればいいからさ。客を楽しませてれば問題ないから。」沙織は少し安心した。
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