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そこまで思い、自嘲の笑みが溢れてきた。
涙を流しながら、笑っている女の姿なんて、奇妙でしかないことは、分かっている。
ただ、今の私はそれくらいに混乱している。
「…桜太、ねぇ。私…どうすれば良い?」
まさか、「幼馴染み」の存在がこんなにも大きいなんて思ってもみなかった。
確かに、小さい頃からずっとずっと一緒に居たけど。
私に彼氏がいた時も、桜太に彼女がいた時も一緒にいた。
結局私たちは離れられなくて、心の奥では今のままずっと一緒だと思っていた。
…なのに、もう桜太はいない。
愛してる。
そんな、たった五文字なのに、すごく重い一言を遺して。
なんて残酷なんだって思った。
そんな言葉を面と向かって言われて、私が笑っていられるわけがないって、桜太なら分かってるでしょう?
「桜太の、馬鹿…っ」
そう呟くと、また涙が溢れた。
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