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「ちょっと、悠嘉!!」
「…もうっ、何!?」
わけ、分かんない…。
たった今、目の前に居たのに。
とりあえず、お母さんの話を聞こうと、後ろを振り向くと、青白い顔のお母さんが呆然と立っていた。
「えっ、お母さん…?」
「ゆ、悠嘉!桜太君が…」
「桜太?今ここに…」
確かに、居たはず。
証拠に、私は押し付けられた桜の枝を持ってるし、……唇に桜太の感触だってのこってる。
「居るわけないでしょ!
今、電話があって。桜太君が…」
先を聞かなくても、お母さんの言いたいことが、なんとなく分かった。
だって、このシチュエーション。
誰でも気づくはず。
「お母さん、桜太はどこ!?」
「市立病院で…ついさっき息を引き取ったって…」
お母さんも、信じられないという表情をしている。
ついさっき。
本当に、1分前まで私の前に居たのに?
じゃぁ、あの桜太は何?
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