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涙とともに、足の力も抜けたみたいで座りこんだ。
床を叩く手が痛い。
いや、痛いなんていう感覚もない。
では、この痛みは何なのか。
誰にぶつけられるわけでもない、理不尽な、どうしようもない怒り。
「最期に…あんなこと言わないでよ…!」
責めたって、仕方ないって知ってる。
どこを向いて叫んでも、私が求めている声は決して返ってこないんだって。
…分かっている。
頭の表面では。
『死』というモノが何なのか……理解出来ているはずなんだ。
辞書をひいて出てくることを、説明することだって出来る。
幼い子供に、死について教えてやれるくらいの知識はある。
もう、この年なんだは
身近な人の死に直面したことだってある。
なのに頭のどこかでは、今にも起き上がるんじゃないか、とか。
先程の話の続きを聞かせてもらえるのではないのか、とか。
…思っている。
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