第四章

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そうした5人での練習はその後何日も続いた。 そしてある日、隼斗達がグラウンドに入ると顧問の宮越と一緒にユニフォーム姿の見知らぬ2人がいた。 「おお、来たか 今日はお前達に紹介したい奴等がいてな おい福留、一球投げてみろ」 宮越がそう言うと2人の内の1人がマウンドへ上がる。 そしてもう1人は何も言われていないが、バッターボックスへと入る。 そして福留と呼ばれた男が振り被り、ボールを投げた。 「はっ、速い!」 隼斗は素直にそう思った。 しかしその球をバッターボックスに立った男は意図も簡単に打ってみせた。 「打った・・・ あんな速い球を初球から打つなんてありえへん」 渉がいった。 「ナイスバッティング 相変わらずだな富岡 どうだお前等、凄いだろ? うちのエースピッチャーとエーススラッガーは」 宮越が自慢気に言う。 「アイツ等ここの生徒なんか!?」 渉が驚きの声を上げる。 「そうだ お前等の先輩だ 今は3年だから今年が最後だな お前達にアイツ等を越えられるか?」 宮越がニヤリとする。 「やってやろうやないかい 要はあのピッチャーからホームラン打てばええっちゅう話やろ」 渉が言う。 「でもさ、何であんな凄い人がいるのに大会で初戦敗退なんですか?」 隼斗が訊いた。 「アイツ等は確かにいい選手だ 福留はMAX147km/hの球を投げるし 富岡は打率5割強 その殆んどがホームラン しかし1つ欠点があるんだ それは体力 あの2人は致命的な程体力が無い 富岡に至っては怪我も多い それで去年も大会には出てないしな」 「だったらワイ等は9回までずっと出場できる体力とアイツ等以上の実力を身に付けたる」 「その時は・・・ 先生も真面目に監督をしてください 約束です」 「良いだろう 期間はどの位必要だ? 1ヶ月か? それとも1年か?」 「ナメんなや! 1週間で十分や 絶対に越えたる」 「ソイツは楽しみだな それじゃ、1週間後にまた会おう」 そう言うと宮越はグラウンドから出ていった。 いつの間にか福留と富岡の2人もいなくなっていた。
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