第四章

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「そうそう、1つ言い忘れてる事があった この勝負で見るのは個々の能力だけじゃない、バッテリーの相性も見させてもらう キャッチャーがどうリードし、ピッチャーがどう対応するか その事も頭に入れておけよ」 宮越が付け足した。 しかし宮越の言葉を無視するかの様に渉が構えたのはど真ん中だった。 隼斗には渉の考えがわからなかったが、構えられたミットに向かって全力で投げた。 そのボールは吸い込まれる様にミットに収まった。 打席に立つ富岡は初球を見逃したのだ。 それは渉の狙い通りだった。 富岡の様に自信家な奴は初球で相手がどれ程のレベルかを見極め様とする。 ならばそれを利用してカウントを稼がない手はない。 そう考え渉は初球ど真ん中を指示したのだ。 (成る程、中々速いな だが打てない球じゃない 次は必ず打つ) 富岡はそう思った。 そして続く第2球。 渉が構えたのはまたしてもど真ん中。 隼斗は少し不安を感じた。 (隼斗、お前の球はそう簡単に打たれへん だから自信持って投げてこい!) 渉は思った。 その気持ちが通じたのか隼斗は笑顔になり、第2球を投げた。 しかし カキーン! と言うボールがバットに当たる音が響き、隼斗の投げたボールはアッサリとホームランにされてしまった。
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