第四章

11/13
前へ
/71ページ
次へ
その後お互いに何打席も三振もホームランも出ない事が続き、富岡の7打席目となった。 隼斗の投げた球を富岡が打ち返す。 しかしその打球は後ろのフェンスに当たりファール。 その次も、そのまた次もファールを出した。 (くそっ、どうしてだ どうして打てない ここまできて何故ヤツの球威は衰えない むしろ増している様に感じるのは何故なんだ) 後が無い富岡は焦っていた。 そこへ容赦無くボールを投げる隼斗。 富岡はまたしてもファール。 そこで渉はミットの構える位置をど真ん中から変えた。 それに頷き、ボールを投げる隼斗。 「負けるかー!」 そう言って富岡がバットを振る。 バットは完全にストライクゾーンの中心を捕えていた。 しかしそこにボールはなかった。 ボールはアウトローいっぱいの所へ入り、隼斗はついに富岡を三振にとった。 「アウトロー・・・だと!? 何故今まで真ん中ばかり投げていたのに最後の最後でアウトローなんだ!?」 富岡が言った。 「俺は1週間必死で練習した その1週間で俺が磨いたのは速さよりもコントロールだ そんな短期間で球が速くなるとも思えないし、コントロールのいいピッチングでストライクギリギリのトコを突いた方が三振に取れる可能性は高いと思ったからね」 隼斗が言う。 「じゃあ今のは狙って投げたって言うのか?」 「勿論 ちょっと狙いよりズレたけどね」 「くっ、信じられん・・・」 そう言うと富岡は悔しそうに打席を後にした。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加