第二章

3/4

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/71ページ
「ホンマか!? そら凄いやんけ!」 渉は隼斗の球速を凄く褒めた。 正直予想外の反応に隼斗はビックリした。 「まだ1年やのにそんだけ速い球投げれるんやったら高三になったら150も夢やないで」 渉の笑顔とは裏腹に隼斗はあまり自信が無かった。 そうこうしている内に隼斗達は野球グラウンドに到着した。 しかし、練習している様子は全く無い。 そもそも部員自体数名いるだけだ。 もと近付いてみると隼斗と渉は絶句した。 グラウンドは荒れ放題でアチコチに草は生え、地面の凹凸がハッキリとわかる。 「なっ、なんやここは!? ホンマに野球する場所なんか!?」 渉の叫びももっともだ。 こんな所が野球場だなんて信じ難い。 「もしかして、君達入部希望者か?」 隼斗達の背後から声がした。 振り返るとそこには如何にもやる気の無さそうな1人の男が立っていた。 隼斗はまさかと思い1つ質問をしてみた。 「あのー、もしかして貴方が野球部の顧問ですか?」 「それがどうかしたか?」 やっぱりだ。 この人は正真正銘ここの野球部の顧問つまり監督だ。 という事はやはり此処が野球場で間違い無さそうだ。 「じゃ、じゃあまさか、此処が野球のグラウンドなんか!?」 渉が信じられないといった様子で訊いた。 「それ以外に何に見えるんだ?」 顧問の男が聞き返した。 「こんなんただの荒れ地やんけ! ベースもラインも何処にあんねん! 練習しとる部員は何処におんねん!」 渉の怒りが爆発した。 「イレギュラーバウンドの練習ができていいじゃないか それに彼処にキャッチボールしてる部員もいるぞ? だいたいね、ウチの様な弱小チームがあんまり贅沢を言っちゃ駄目なんだよ」 顧問の男が答えた。 「弱小って一体どの位なんですか?」 隼斗が質問する。 「道内最下位かな 去年も夏の大会は一回戦で25対0の5回コールド負け ウチに勝ったチームも二回戦で9対0の7回コールド負け・・・」 「なんやねん、その戦歴は!? 弱いにも程があるやろ!」 渉がまた叫んだ。 「今は部員も少ないから入ってくれると助かるよ。 まぁ気が向いたらでいいんだけど」 顧問の男が軽く隼斗達に誘いを掛けた。 「誰が入るかい! ワイ等の事馬鹿にすんのもええ加減にせーや!」
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加