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真っ暗だ。
何も見えない暗黒の世界…。
「ここは…どこだ?」
慎重に歩く。
道を踏み外してしまいそうで怖くて…
寒い。
いや、何もない寂しい雰囲気がそう感じさせる。
『うっく…ひっく。』
誰かの泣き声。
声色から子供か。
「誰かいるのか?」
…。
『グスン。俺が殺したんだ…みんな、みんな!』
見るとぼやっと光ってる所に
(あれは…子供の俺?)
―――ジリリリリ!
目覚ましの音。
重たい目を開けると見慣れた天井が。
「もうこんな時間か…」
簡単に朝食と弁当を作る。
俺、紅音蓮(クオンレン)は幼い頃両親を事故で無くしている。
と言っても俺もその時一緒にいたらしいのだが、ショックで断片的に記憶を無くしてしまったらしい。
何で俺だけ生きてるのか。
今までずっと考えてきたが結局何も思い出すことはできず、そのことについてはなるべく深く考えないようにしてきた。
しかし―――
「今朝の夢…何だったんだ?」
まぁそれも考えても仕方ないか。
朝食を食べ終え、学校の準備をする。
「行ってきます…」
玄関の両親の写真に軽くお辞儀する。
俺の10年間の日課だ。
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