情景

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真っ暗だ。 何も見えない暗黒の世界…。 「ここは―――どこだ?」 慎重に歩く。 道を踏み外してしまいそうで怖くて… 寒い。 いや、何もない寂しい雰囲気がそう感じさせる。 「…またここか」 周りを見渡す。 子供はいなかった。 しかし奥の方に何かを感じる…。 「誰かいるのか?」 返事はない。 ふと隣にいるはずの存在を思い出す。 「…零?」 反応がない。 不安になり思いきり叫ぶ。 「零!!いるんだろ!?返事しろー――!!!!」 すると気配を感じた方がぼんやり光る。 『それが汝の居場所か…』 (?) 「零…じゃないのか」 『汝に問おう。力とはなんぞや?』 …力。 昔の俺は力は相手を打ち負かす、圧倒的なものかと思っていた。 家族を事故で亡くし、学校では独りだった俺。 強くなれば一目置かれ、皆に尊敬される…そう思い、ケンカに明け暮れた。 でも―――。
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