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―夕方。
夜の合図に世界が朱色に染まる。
街は蜃気楼のようにゆらゆら揺れて見える。
今日は怪しげな空…。
「不気味な空だな…」
蓮は居残り勉強で残っていた。
はっきり言って俺は頭は良くない。
運動神経はいいもの、授業となると寝ずにはいられなくなる。
そんなことで今は遅れた授業分居残らされているのだ。
ガラガラ―
教室のドアが開く。
先生「後はお前だけだ。先生は職員室にいるから終わったら呼ぶんだぞ」
「へ~いへい」
先生「…逃げるなよ?」
ドスの聞いた声で脅す。
「ご心配なく。自分の生徒くらいちったぁ信じろって!」
先生はため息をつきながら教室を出る。
さてと―。
もちろん断じて逃げるわけではない。
そう、ただ急用を思い出しただけだ。そういうことにしておこう。
「じゃーな、堅物石頭♪」
荷物をまとめ、教室を出る。
用事なんてなかったが何となく嫌な予感がしたので走っていた。
辺りは誰もいない。
(まただ…今朝と同じ)
広場に出ると少女の姿を探す。
(いない…)
でも、今朝と同じ感覚。
何かが起こる、今朝とは違う嫌な空気が蓮を襲う…。
陽が沈む。
『来る…』
何が?
『来るよ』
何が起こるんだ!?『ほら、来た!!』
途端辺りが真っ赤になる。
身体が動かない。
周りの赤は化け物に変わり蓮を囲む。
「…っ!?」
化け物は今までゲームでしか見たことない、いわゆるモンスターだった。
「ははっマジかよ?」
モンスター達は蓮を囲みながら距離を詰めてくる。
そしてついに一斉に飛び掛かってきた。
逃げられないっ―!
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