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「はい?」
シアリーは自分の父親の言ったことがイマイチ理解できず、目をしばたいて聞き返した。
「見合いだよ、見合い」
一人娘には究極に甘い、シアリーの父親であるナ・クイード国の国王はやんわりと繰り返す。
「お前ももう19だし、私もそろそろ跡継ぎを決めて安心したいのだよ」
まるで普通の世間話をするかのように、王はにこやかに髭を撫でた。
ゆったりと自室の椅子に腰掛ける様子からは、古い歴史を誇る国に新たな改革を起こしてきた激しさは一片も見られない。
え、いや、ちょっと待って。
……見合い―――?
いくらなんでも急すぎる。
普段から突発的なところのある国王は、たまに驚くようなことを提案してくる。
しかも実際にそれを行動に移すので、正直みんな困っていた。
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