第一楽章 苦しみに溺れて

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雨粒が木の葉に触れるその時、ポタっという小さな小さな音が響き、落ちていく。 人生とはそんな、小さな音でしかない人間を受けとめる、大きな木の葉のようなものだろう。 確かに、小さな音だ。しかし、重なり合えば大きな音となっていく。 人間とて、重なり合えば大きな力となる。木の葉を大きく揺るがす雨粒となる。 だが人間は大いなる権力を恐れ、そこから逃げ出す。 今、この雨の中を走っている幼い少女もその一人だ……。  
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