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雨と雨上がり
雨と雨上がりはいつも寡黙だ
雨の音なんてすぐになじんでしまうほど続くし
雨が上がった瞬間はいつも曖昧なもの
気付いたら
上がったね
そう声をかけあうもの
傘についた滴を乱暴に払ったら
今度は傘が勝手に乾くと思う
傘は雨から守ってくれたのに
いつもいつも
気付いたら
雨が降って
雨が止んで
傘が乾いてる
いつもいつも
気付いたら
傘は乾いているけど
その傘は少しずつさびついている
それでも同じ傘を使って雨をよけてる
傘立ての端っこでほこりまみれになったら
忘れ物の古い傘か
はりついて開かないような
ビニール傘を借りて
雨をしのんでいるんだろう
濡れながら帰ることはなくなったみたい
少年が大人になったくらいから
だけど最近は傘さえ使わない
タクシーを止めてばかりの右手
駅に着けばまだ雨だろう
とりあえず転ばずに歩ければいい
家に着く頃はもう小雨だろう
いつしかまた雨はやんでいるから
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