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「おはよ…う?」
半分ぐらいしか来てない友達が、私を不思議そうに見つめた。
「桃ちゃん…?ランドセル?」
みつ編みをした、マミチャンが、私に近付いて来た。
『え…?』
私は、すぐに気付いた。
教室に居る友達の机の上には、ランドセルではない物が置いてあったんだ。
マミチャンの机の上には、可愛い猫が付いたピンク色の物が…
その後ろの、カヨチャンの机には、赤いハート模様の物が…。
『え…?』
《私…あんなの持ってない…》
まだ温かい、お弁当を胸に抱き私は俯く。
「おはよう!」「おはよう!」
次々に、彩とりどりのリュックを背負ったクラスメートが、教室に入って来る。
俯く私に、みんな「どうしたの?」と言うような雰囲気になるが…
その原因が、マーブル模様のランドセルにある事に気付く。
私は、教室の黒板の前に、立ちすくみ動けない。
《どうしよう…私…》
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン♪
みんながザワザワと席に着き始めた。
私も、ゆっくりと自分の席に座る。
でも、友達みたいに机の上にランドセルを置けない。
私は、椅子の下にランドセルを置いた…いや…隠した。
周りからは、温かいお弁当の匂いがしていた。
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